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大迫力の凹凸絵画『ミケル・バルセロ』

スペインを代表する現代画家『ミケル・バルセロ』の日本初の大規模な個展が開催されました。昨年2021年6月長崎県美術館からスタートして三重県立美術館そして2022年1月13日(木)から3月25日(金)まで東京オペラシティ・アートギャラリーへの巡回となりました。

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東京オペラシティ・アートギャラリー

『ミケル・バルセロ』は80年代から現代の美術界で注目されたスペインの現代美術家です。生まれ故郷のマジョルカ島、その後アメリカニューヨークやヨーロッパのフランスのパリなど美術界華やかな大都市をはじめ、未開のアフリカの砂漠生活、ヒマラヤの高地などの旅とその地の風土、文化、生活の中で美術表現を模索した画家です。

ゆっくりと『ミケル・バルセロ』の世界に浸ります。

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展覧会のみるべきポイント

・ミクストメディアによる現代絵画

・さまざまな技法によるマチエール(絵肌)。

・プリミティブな世界観

海そしてマジョルカ島の自然

ミケル・バルセロは1957年スペインのマジョルカ島出身の画家です。美術大学卒業後、1976年に前衛芸術家のグループに参加。1982年『ドクメンタ7』(ドイツ・カッセル)で国際的な場に登場して以降は絵画の題材としてマジョルカ島の自然『海』『海に生きるものたち』などを題材にしています。幼少期に海に潜ってタコや魚を取った日々。海が日常でもあり、マジョルカ島の自然を画題としてダイナミックに表現しています。

これら多彩な表現はひとつの題材にこだわらない自由な発想によるものです。

**掲載している写真は東京オペラシティ・アートギャラリーの許可を得て紹介しているものです。**

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『恐れと震え』2018年

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『恐れと震え』のディテール

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『下は熱い』2019年

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『下は熱い』のディテール

 

私の好きな『ミケル・バルセロ』ベスト4作品

①闘牛場の空気感を描いた《イン・メディア・レス》2019年

②キリストの磔刑を思わせる《亜鉛の白:弾丸の白》1992年

③ブリーチ・ペインティングによる肖像画《ドリー》2013年

④不気味な動物の彫刻作品《カピロテを被る雄山羊》2016年 

プリミティブな世界

世界各国を渡り歩きそこに暮らすことで表現や素材の追求を行っています。未開の地のアフリカの大地、空気の薄い高地ヒマラヤなど過酷な生活の中に敢えて身を置き表現や発想の限界にチェレンジしています。1988年から約半年間、は荒涼としたアフリカのマリの大地やそこに暮らす人々の営みを生き生きと描いています。ラフに描かれたスケッチは表現手段も多彩で虫食いの紙を使用したりしています。

絵の筆使いも伸びやかに心の奥底にある人間の姿や感情をも表現しています。

その他スペイン独自の風土や闘牛をテーマにしたり、ヤギが逆さ吊りにされ、その下には頭蓋骨が置かれたり、混沌とした宗教的な世界も表現しています。

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『イン・メディア・レス』2019年

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『イン・メディア・レス』のディテール

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『とどめの一突き』1990年

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『とどめの一突き』ディテール

 

 

『ミケル・バルセロ』絵画のマチエール

彼の絵画の技法はほとんどが『ミクストメディア』。現代美術における性質や種類の異なる複数の素材を用いる技法。油彩にこだわらずアクリル素材を使用して重厚で盛り上げられた絵肌(マチエール)などを追求したものです。タコの吸盤、海に浮かぶ船は立体的に表現されています。ヤギが逆さ吊りにされ、その下には頭蓋骨が置かれたり、混沌とした宗教的な世界も表現しています。

彼独自の表現手法として確立されています。

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『漂流物』2020年

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『漂流物』のディテール

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『亜鉛の白:弾丸の白』1992年

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『亜鉛の白:弾丸の白』のディテール

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『雉のいるテーブル』1991年

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『雉のいるテーブル』のディテール

 

インスタレーションから立体作品

彼の美術表現は平面にとどまらず多くの半立体作品や立体作品、陶作品などがあります。彫刻作品は自由かつ奔放でやや呪術的、宗教的な要素もあります。

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『カピロテを被る雄山羊』2006年

1990年代後半から2020年にかけての陶作品もおおく展示されていました。マジョルカタイルでも有名なスペイン。『焼きものは自分にとっては絵を同じ』と言わしめたほど『やきもの』と言う素材は身近でスペインの伝統的な意味合いがあるのではないでしょうか。

素焼きに絵付けを施しているものは国民性や本来の文化を継承しているように感じます。しかしながら絵柄やモチーフは作家本来持っているものでしたが。

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陶作品の数々

他には泥か陶土にまどろみ塗れて絵画の中に埋没するインスタレーションはとても不思議な動画でした。

 

『国立国際美術館の展覧会紹介 YouTube』
www.youtube.com

最後に

特に記憶に残ったのはキャンバスを真っ黒に塗り、絵具代わりに脱色剤を用いて描くという『ブリーチ・ペインティング』なる絵画手法。展覧会のポートレート作品は同手法によるもので時間の経過に伴い色が消えていく脱色剤の特性を最大限に生かしたもの。勢いのある筆致はやや不気味ではあるが素晴らしい。 

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『マルセラ』2011年

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『ドリー』2013年

 

 

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