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ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』でわが身を振返る。

最近の深夜ドラマは面白い。

先日放映が終了したドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』は心に刺さるポイントがいくつかありました。ドラマとその基になったエッセイを読んで感想を書いてみました。

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最近のドラマとベースとなる脚本

NHKのドラマ10やテレビ東京の深夜ドラマは質が高い。

先日放映終了したドラマの中で面白かったのは二つ。

テレビ東京ドラマ25の『ソロ活女子のススメ』と同じくテレビ東京ドラマ24『生きるとか死ぬとか父親とか』。

ふたつともエッセイ(書籍)から新たな脚本を制作したもの。

 

『生きるとか死ぬとか父親とか』はラジオパーソナリティ、コラムニストなど様々な顔をもつ『ジェーン・スー』さんの2018年に発刊されたエッセイです。

これよかったね。

 

最近のドラマはエッセイ、漫画、小説を基にテレビ用に脚本家が編集したものが多いですね。

そして世情に合わせてテーマのバリエーションも豊富です。

 

心情に訴えるリアルなエッセイ

このエッセイは20年くらい前に彼女が母を亡くして、父親を中心にひとり娘の自身の家族の過去と現在を綴ったものです。

 

血縁の父娘だからこそ激しく衝突し反発し合いながらもお互いを認めようとする関係を楽しく辛辣に語っているところが魅力です。

 

父親の男としての魅力や好きなところ逆に嫌いなところや許せないところを赤裸々にそして一刀両断に描いています。

そこで語られる血のつながった父ひとり娘ひとりの各エピソードはとても面白くそして切ない。

 

本の中の一番好きな彼女の独白。

『美談とは成り上がったものではない。安く成り下がったものが美談なのだ。
父から下戸の遺伝子を受け継いだからにはいつだって素面でいられる。
どんな下衆な話でもどんなしょぼい話でも、笑い飛ばし、無様な不都合を愛憎でなぎ倒してこその現実ではないか。』

 彼女自身の人生を納得させるために、複雑な家族間のことや父親の仕打ちを最後は美しくまとめて書こうとしていたことをもう一度振り返る姿がとてもよいですね。

 

また本の中に書かれた娘と父親は決して清々しいものではなく、偽りなく感情を表し、ふたりのやや面倒な人間臭さをも感じさせます。

 

実際のエピソードを繋ぎ合わせたドラマ編集

ドラマはと言うとエッセイに書かれた事実から登場人物や出来事をあれこれ差し替えたり、別のかたちで繋ぎ合わせたりして台本がつくられています。

しかしながらドラマの台詞はエッセイとほぼ同じ内容でそこは大事にしています。

 

エッセイには書かれてはいないのですが、ドラマでは父親のこと以外にも自身のパートナーとのことなども脚本で描かれたりしています。

 心情を表す劇中での間や空気感、そして俳優陣の表情、会話、独白などがとても素晴らしかった。

 

自分の記憶も曖昧なもの

先のドラマの美談の話ですが、わたしの両親は大学入学までの好き勝手な浪人生活の行動を容認し、特に就職を勧めるわけでもなく、そんないい加減な生活は辞めるように強制されたことも一度もありませんでした。

息子が自分自身で決めたことに対しては、決して口を出さなかった亡き両親には今でも感謝しています。

若かった頃の自分に対してここぞとばかりの親の自己顕示欲、威厳を発揮しての強制力が無かったことも共感できました。

 

 いや待てよ。

自分自身もかなり都合よく記憶していないのでは。

歪曲して記憶していないだろうか。

 

きっと両親には何かを言われて衝突しているに違いないのだが、全く覚えておらず。

そのことは忘却の彼方に。

 

実際には就職やら授業料の話など色々あっただろう。

そんな物わかりの良い話ばかりではなく、記憶違いのところもある筈だ。

これもきっと自分にとって都合のよい美談にまとめているのかもしれないですね。

 

このドラマに描かれていることは自分が体験したこととは当然のことながら違うが、似たような場面もあり、親兄妹関係は血が繋がっている故の面倒くささもある。

わたし自身も年齢を重ねて来て、その心情はなるほどよくわかる。

 

人の人生は紆余曲折。決して格好のよいものではなく いつも思い通りにはいかない。

家族も仕事も人生も七転八倒し、苦痛に身悶えながら探していくものではないだろうか。

 

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