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ドラマ『エレクトリック・ドリームズ』不思議な世界にようこそ【Amazon Prime Video】

『エレクトリック・ドリームズ』はフィリップ・K・ディックの短編に基づいた、アメリカとイギリス共同製作のSFドラマ。

2018年Amazon プライム・ビデオで紹介されました。

遅ればせながらこの短編シリーズの海外ドラマに今はまっている。

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Philip K. Dick’s Electric Dreams エレクトリック・ドリームズ 

 

作品情報

上映年度 2018年

(日本では上映されずAmazon プライム・ビデオにて2018年1月12日配信)

 企画 ロナルド・D・ムーア
    マイケル・ディナー

 

第1話「真生活」Real Life
脚本・ロナルド・D・ムーア

監督ジェフリイ・ライナー、出演アンナ・パキン

 

第2話「自動工場」Autofac
脚本トラヴィス・ビーチャム

監督ピーター・ホートン、出演ジュノー・テンプル

 

第3話「人間らしさ」Human Is
脚本ジェシカ・メッケルンバーグ

監督フランチェスカ・グレゴリーニ、出演エシー・デイヴィス、ブライアン・クランストン

 

第4話「クレイジー・ダイアモンド」Crazy Diamond
脚本トニイ・グリソーニ

監督マーク・マンデン、出演スティーヴ・ブシェミ、ジュリア・デイヴィス

 

第5話「フード・メーカー」The Hood Maker
脚本マシュー・グラハム

監督ジュリアン・ジャロルド、出演リチャード・マッデン

 

 いまのところ 観た内容は第1話から第5話まで


www.youtube.com

SF小説の神 Philip K. Dick 

フィリップ・K・ディックと言えば続編が公開されたサブカル映画の金字塔『ブレードランナー』や新旧2作ある『トータル・リコール』わたしが好きな『マイノリティ・リポート』地味だが良作の『アジャストメント』など数々の映画の原作を書いたアメリカのSF小説作家の大御所。

 

各話ごとのこのドラマはディックの異なる短編小説の原作をもとに制作されています。

ドラマのストーリーは1話完結で監督、脚本家、出演者はすべて異なります。

イギリスおよびアメリカの脚本家による全10話の短編ドラマの構成になっています。

 

自分の気に入ったストーリーをセレクト

第5話までの中で特に好きなストーリーは第1話と第2話の2つ。

 

第1話『真生活』Real Life

【原作:『展示品』“Exhibit Piece”(1954年)】

(論創社ダーク・ファンタジー・コレクション『人間狩り』収録、仁賀克雄 訳)

凶悪犯を常に追い続ける女性刑事サラ。

毎日やりきれないハードワークに疲弊したある日、それを見かねた恋人の勧めで夢を見ることでその中に埋没して別の人間になる『人生の休暇』を体験できる装置を使うことになります。

この辺りは映画『トータルリコール』に描かれるリコール社の装置の考え方を思わせますね。夢の中で彼女はゲームメーカーのクリエイター社長ジョージになります。

 

しかしながらそこは潜在的な刑事の性。 

ジョージは妻を殺害した犯人を追っています。

次第にサラが夢をみてジョージになっているのか、ジョージが夢をみてサラになっているのかどちらが本物の現実の世界なのかわからなくなります。

 

そしてサラは夢の中が現実だと思い込みシステムの接続を遮断し、目覚めぬ人となってしまいます。

クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』の中にも夢の中の夢の深層で同じようなことが語られていますね。

 

第2話『自動工場』Autofac

【原作:『自動工場』“Autofac”(1955年)】

 (ハヤカワ文庫SF『時間飛行士へのささやかな贈物』収録、大瀧啓裕 訳)掲載 

核戦争終了後、荒廃してしまった世界。

アンドロイドの顧客サービス係や武装ロボットが警備にあたっている、すべて自動化された工場が物資を供給し続ける世界。

原作では、人間の手による自立を目指すために自動工場を機能停止させる。となっている。

ドラマの大きな流れは女性の主人公とグループのリーダーが作物に有害な『不必要な金属を垂れ流す環境汚染を止める』ために行動します。

最後に自動工場を破壊しようとする彼ら側も感情を持ち、進化したアンドロイドだった。と言うのがわかります。

『人間の感情』『愛情』を不具合による不完全なシステムのバグの様に捉えたのが面白かった。

しかしながら原作のファンはきっと納得できない内容かもしれませんね。 

 

Philip K. Dick の考える未来

ドラマを観て小説を読んで考えてみました。

 

フィリップ・K・ディックの考える未来とは

人間は不完全で危うく限界があり、解決できないことが多い。

それをサポートする特殊な能力を持った故に人間に阻害され疎んじられるミュータント、感情を持ち人間に限りなく近いアンドロイド、異質な能力を持った異星人などが登場します。

 

人間の存在を正とするならば、人間には都合は良いけれど、彼らにとっては非常に理不尽な状況に追い込まれている。その事で自身の存在に苦悩し、生きることへの渇望は激しい。

 

フィリップ・K・ディック原作の映画『ブレードランナー』のレプリカントや『トータルリコール』のミュータントも同じ。差別や迫害を受けながら、自らの寿命や生きることの限界に抗おうとする。

 それに対峙する物語の中の人間の存在がストーリーの共通したテーマとなっている。

 

最後に

ちなみにわたしが最も好きなSF小説はスタニスワフ・レムの『ソラリス』です。

この世界観と日本語訳の描写力は素晴らしいですね。

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