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時代を超えて体感する石岡瑛子の世界

 『石岡瑛子』 グラフィックデザイナー、アートディレクターであり衣裳デザイナー。企業人としてスタートし広告の世界から衣裳、映像の世界にまで高度成長期から時代を駆け抜けた強い女性。現在に2ヵ所で石岡瑛子の展覧会を開催しています。

東京現代美術館で見た感想を書きます。

 

   

石岡瑛子とはどんな人物か 

グラフィックデザインとアートディレクション

彼女の初期の作品はやはり60年代から80年代の時代を駆け抜けたグラフィック広告写真先鋭的ものが多いですね。PARCOの全盛期の70~80年代はファッション界が輝いていたパワフルな時代でした。渋谷や池袋の街並みには彼女のアートディレクションによる広告看板のポスターが張られ、そのインパクトのある作品のエネルギーに圧倒された記憶があります。石岡が入社した『資生堂』勤務時代に担当だった『資生堂ホネケーキ』は化粧石鹸にナイフを入れた斬新な広告、『PARCO』のポスター写真以外には『角川文庫』,雑誌『野生時代』の表紙デザインなどがあります。

子ども時代に自宅に置いてあったビビッドなグリーンと赤紫の透明なホネケーキは宝石の様で香りがフルーティ。鮮明に覚えています。

作品で印象に残っているのはインド、モロッコ、ケニアの奥地にてロケを敢行し撮影カメラマンはあの『藤原新也』を起用した『PARCO』キャンペーンポスター。そしてマイルス・デイヴィスからのオファーによるレコードジャケット『TUTU』。写真のトリミング位置を何度も検証し、マイルスの顔のモノクロのアップ写真を使った深い憂いを称えたデザインです。 

1987年 の第29回グラミー賞 最優秀アルバム・パッケージに選ばれました。

 

 

 

エロスさえ感じる衣裳デザイン

石岡瑛子の衣装デザインを担当した映画は数々あります。それら映画もたくさん観ました『ドラキュラ』『ザ・セル』『落下の王国』『インモータルズ -神々の戦い-』映画の完成度や好みは様々ですが衣装デザインは鮮烈でした。特にフランシス・フォード・コッポラの『ドラキュラ』はいままでのドラキュラ映画にはない独特のスタイリッシュな世界観と竜や蛇の文様詩集をあしらった華麗なドレスが目を見張ります。イラストはアメリカの色鉛筆SUNFORDのプリズマカラーによる手書きの色鉛筆の色彩画。1993年アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しました。

『ザ・セル』の連続殺人犯の深層心理の中の出てくる邪悪な創造者の衣裳の様式美やシーンの展開などは衝撃的で一度見たら記憶に残ります。また『落下の王国』も世界遺産の各国の異郷の景色も相まって衣裳が象徴的に描かれていました。石岡瑛子のギラギラした熱量を感じますよ。

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★石岡瑛子の衣裳が採用された映画【ベスト3

 ー会場でも流れていた個人的に好きな映画ー

 

①スタイリッシュで独創的な官能的な衣裳『セル』

 ②世界遺産を風景にした物語性の高い衣裳『落下の王国』

 ③初めて映画に採用された衣裳『ドラキュラ』

 

斬新な舞台

演劇やオペラなどの舞台の衣裳や毎年斬新なサーカスで話題の『シルク・ドゥ・ソレイユ』などの衣裳も手掛けました。リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』などは4部完結の長時間ドラマ。ピエール・アウディ演出によるオランダ国立オペラ1998-1999年の演目はワーグナーも真っ青の音楽よりもむしろ『ファッションショー』のような衣裳が主体の演出だったようですよ。その衣裳が現代美術館では象徴的な衣裳が会場内のあらゆる場所に展示配置されていて圧巻でした。

 

 

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2つの会場での展示 

73歳で亡くなるまで精力的な活動でアートディレクションから衣裳デザインの世界で活躍しました。後半は映画監督ターセム・シンの『ザ・セル』や『落下の王国』で石岡は作品の演出までかなり激しく意見していたようです。60年代のデザイン界もやはり男社会だった時代を生き抜き、頂点を極めた『石岡瑛子』だからこその妥協無しの仕事だったのではと思います。

その生きざまを紹介した展覧会はこちらから 

2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)

休館日:月曜日(11月23日、2021年1月11日は開館)、11月24日、12月28日-2021年1月1日、1月12日


前期 :広告・キャンペーン:2020年12月4日(金)-2021年1月23日(土)
後期 :グラフィック・アート:2021年2月3日(水)-2021年3月19日(金)
*冬期休館:2020年12月28日(月)-2021年1月5日(火)

 

 

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