北陸加賀百万石の城下町『金沢』。
新幹線が開通し東京から最短2時間半で目的地に到着。
以前は飛行機で小松空港からの移動でやや不便な場所でしたが、今は身近な観光地となりました。
仕事で訪れたこの場所のことを書きます。
緊急事態宣言は明けましたが平日の夜の移動なので新幹線は人が少ない。
金沢の街と行政
金沢以外の場所から来た人のイメージからすると『兼六園』『ひがし茶屋町街『近江市場』最近では『金沢二十一世紀美術館』と言った観光スポットの名前が挙がりますね。
金沢と言う街は加賀前田家が入城後、繁栄を極めた場所ですが、そこに住む人々の街に対する思いや文化、教育、芸術、建築などさまざまな分野で非常に上質な土地柄を感じさせることを実感しました。ここで紹介する『金沢市第二本庁舎』と言う建物にもその背景を感じさせるものがありました。
長町武家屋敷跡界隈
『金沢市第二本庁舎』は公募型プロポーザルによって設計会社は決められました。
ロケーションは犀川の北側で浅野川に挟まれた市街地。新旧の美術館や様々な歴史的な文化施設が立ち並んでいます。計画された土地は金沢城の南側にあたり、江戸時代には武家住宅地となっていた場所です。
金沢市第二本庁舎の全景
この建物は道を挟んで隣接する『金沢二十一世紀美術館』の円形の建物を意識して建物は弓なりに曲面を描いています。
金沢二十一世紀美術館
金沢二十一世紀美術館
この模型を見ると金沢の街並みはまちづくりや建築を建てる上ですべての関係性を重要視しています。
周辺の景観や街の形成など新しいものと現代のものを巧みに取り入れて魅力的な風格のある場所にしています。
金沢市第二庁舎と金沢二十一世紀美術館の位置関係
*金沢建築館の展示模型より(許可撮影)
金沢市第一本庁舎と、第二本庁舎を結ぶ『上空通路』は景観にそぐわないと便利な構造物を敢えて設置することは止めて不便さを選択しています。
その効果もありこの建物は『第43回金沢都市美文化賞』を受賞しています。
金沢の建築様式『木虫籠』の格子をデザイン
『木虫籠』”きむすこ”を連想させるデザインと日除け機能を兼ね備えた格子ルーバー。
これは金沢の古い街並みや家屋を意識してデザインのモチーフにしています。
金沢の街並み:にし茶屋街
にし茶屋街の格子
金沢市第二本庁舎の外壁
当時の古びた木材の格子のバラツキまでもやきもののルーバーで再現し、金沢の風情を大切にし、金沢らしさを表現しています。
ひがし茶屋街の格子
やきものと金属のハイブリットルーバー
やきもののタイルが使われた金沢市第一本庁舎と第二本庁舎
金沢市第一本庁舎との建物外壁はタイルが使用されていますが、第二本庁舎との繋がりを考える上で、当時の外壁の素材をそのまま再現して第二本庁舎に採用しても今の建物には合いません。
竣工当時の色の数種類のタイルをそのまま第二本庁舎の建物にはは使用できず、あらためて今の建物に合わせたかたちでタイルの色合いや色幅を調整しています。
タイルの混合比も慎重に検討して決定しています。
金沢市第一本庁舎の外壁
金沢市第二庁舎の中庭
還元で焼成したタイル
ラフな面状による現代的なタイル
曲面の開口部から外の景色
開口部を円や曲面で繋ぐとドラマティックな演出と景色の広がりのある見え方を実現できます。
金沢二十一世紀美術館の内観
金沢市第二本庁舎の内観
金沢市第二本庁舎のファサード
吹き抜け空間の見え方
地元産材や伝統工芸を用いたエントランス内観と、前庭との一体感のあるエントランスホール。テーブルやベンチなどの家具にも、金沢市産材の杉が圧縮加工された材料を使用しています。
金沢市ゆかりの工業デザイナー柳宗理氏デザインの椅子なども設置
階段部分の手摺には、金沢伝統工芸の『二俣和紙』をガラスの間に挟み
和紙の風合いを残した特殊加工をしたガラスの手摺になっています。
いつか海外の人々で賑わう場所
地元産材や伝統工芸を用いた建物の内装
ひがし茶屋街の格子と夜景
古き良き風情を新しい建物に上手く取り入れて『金沢らしさ、金沢ならでは』の世界を発信しています。
www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp
下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。