9月『そごう美術館』にて開催された展覧会『ショーン・タンの世界展-どこでもないどこかへ-』好きな絵本作家『ショーン・タン』のことを書きます。現在は北九州市に巡回中です。
ショーン・タン
1974年オーストラリアで生まれた彼は幼い頃から絵を描くことが得意で、学生時代からSF雑誌で活躍。西オーストラリア大学では美術と英文学を修めました。オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞しています。
彼の不思議な画風は中国系マレーシア人で1960年にオーストラリアへ渡ってきた父親から聞いた体験談がモチーフとなっているということですね。
絵本映画のコンセプト・アーティストとしての約9年の歳月をかけた映画『ロスト・シング』は2011年アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。同年にはアストリッド・リンドグレーン記念文学賞も受賞しています。
公式サイトhttps://www.shauntan.net/
やはり好きな絵本は『The Arrival(アライバル)』
2006年に発刊した『The Arrival(アライバル)』は移民をテーマにしたコマ送りの漫画の様な絵本。緻密な画風のモノクロームの絵本は一大叙事詩のような長編の物語のような厚さの本ですが、制作に5年の歳月をかけた台詞や文字のない絵本の大作です。
現在は23の言語で出版されている大ベストセラー作品ですよ。
主人公の移民の男が新天地として知らない国へ渡りその土地で暮らし、家族を呼び寄せるストーリーです。とてもユニークな建築物、高速道路、乗り物、そして奇妙ないきものたちが多く登場します。新しい都会での未知の生活、不安、恐ろしさを奇妙で少しグロテスクな絵で人を惹きつける幻想的な世界を描いています。
『アライバル』より 2004~2006年 ⒸShaun Tan
この絵は知らない国に渡った時に見た都会の世界を描いたもの
https://www.shauntan.net/new-page-52
■現在日本で巡回中の絵本の展覧会
■展覧会名:ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ
■会期:2020年12月12日(土)~2021年1月31日(日)
休館日休館日/2020年12月29日(火)〜2021年1月3日(日)
■開館時間:10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)(入館は閉館の30分前まで)
■会場:福岡県北九州市小倉北区室町一丁目1番1号 リバーウォーク北九州5階
ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ|北九州市立美術館 分館
*以下掲載の撮影写真は『そごう美術館』にて撮影許可が出たものを掲載
不思議な世界観
彼のスタイルの魅力はなんといってもあの絵の雰囲気。ごくごく独善的なイメージですがヒエロニムス・ボッシュやシュルレアリストの画家マグリットやデルヴォ―の雰囲気を持っています。
絵を描く際は鉛筆の下書きやエスキース、スケッチはパースガイドをしっかり描いて、最終的な鉛筆によるデッサンによる架空の世界と不思議で奇妙ないきものたちはとても緻密です。
ちょっと子どもが見たら忘れられない光景や奇怪ないきものですね。特にカラー作品はドラマチックで陰影豊かなやや恐ろしいものが多いですね。
ショーン・タンのプライベートアトリエを再現したコーナー
細かいスケッチや描写したエスキースなど非常に興味深いものがいくつかあります。
展示のみどころ
ショーン・タンの代表作『アライバル』、『ロスト・シング』、『遠い町から来た話』の原画、資料、映像を中心に展示しています
絵本が彼のイマジネーション豊かな世界を初期の段階から完成された作品まで順を追って紹介しているのでその制作過程をリアルに感じ取ることが出来ます。
絵本作家として活動以外に第83回アカデミー賞短編アニメーション受賞作の映画『ロスト・シング』などの制作過程。そして人形のような立体作品などもあります。
そごう開店35周年記念にショーン・タンが描き下ろしたスケッチ
そごう横浜の建物と絵本に登場するエリック
『奇妙』『ユニーク』『幻想的』と言う言葉を連想させられる『ショーン・タン』。
これら作品が共感する『本当の意味』は何なのか考えてみました。
人間と言うのは非常に複雑で残酷、いくつもの矛盾を抱えながら生きている。個人の持っているこころの奥底の世界は計り知れない。ここにある約130点の作品はそれをなんらかのかたちで表現することでなにやら人のこころをざわつかせて、共鳴、共感するのではと感じました。
ショーン・タン(著者詳細情報) | 絵本ナビ | 作品一覧・プロフィール
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