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クリエイティブな5人の推しの作家


パナソニック汐留美術館にて開催された展覧会『和巧絶佳展 令和時代の超工芸』

現代と過去の工芸を繋ぐそして素材を越えたグローバルな美の世界を体験しました。

個人的に特にこれはおもしろいと思う注目の作家の方々の作品感想を書きます。

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■リーフレット

https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200718/pdf/leaf.pdf

■作品リスト

https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/20/200718/pdf/list.pdf

 

日本の工芸技術を新しいアプローチ方法で取り入れて表現する1970年以降に生まれた12人の作家たちの展覧会でした。伝統工芸技術に裏付けされた各作家の視点で自由な表現手法が心地よい。

新作や個人蔵の作品もあり、年代による作品の変遷過程も知ることができました。『現代日本の工芸技術』を世界に発信できる機会になれば嬉しいですね。

下記は特に個人的に面白いと思った作家の方々。 

『桑田卓郎(くわた たくろう)』:陶芸

2009年『小山登美夫ギャラリー』で初めて見た個展から既に11年やはりインパクトありました。作品をよく見ると後から手で彩色を施しているものがいくつかありました。またやきもの特有の『梅華皮:かいらぎ』の部分は大胆に土がめくれ上がったところもあります。皮状の部分には釘のようなもので何か所か止められており、釘の上の部分にも施釉?着色?がされていて表情のひとつになっています。素地と釉薬の収縮率の違いでヒビや割れが激しい『梅華皮:かいらぎ』、陶土に含まれた小粒の長石が表に表れる『石爆:いしはぜ』表現はオリジナル性があり面白い。 

『梅華皮:かいらぎ』

焼成後、素地と釉薬の収縮率の違いで『貫入』が生じます。このヒビや割れが激しい状態の粒状、縮れ状の焼き物の表現のことを『梅華皮:かいらぎ』と言います。

   【梅華皮:かいらぎとは】

『石爆:いしはぜ』
陶器を焼く際に、陶土に含まれた小粒の長石などが器面に現われたもの。石の白色と器肌の色とが一種の調和を示すものです。

 ■公式サイト:『桑田卓郎』

 HOME|桑田卓郎|Takuro Kuwata

 

『深堀隆介(ふかほり りゅうすけ)』:芸術

タライや升に透明アクリルを流し込み金魚を描く。繰り返し透明アクリルを流し金魚を描き”水の中の金魚”をリアルに作る作品で創造力や表現力が凄い。繰り返し絵を描きアクリルを20層程度重ねることで金魚と水のリアリティが増しますね。 

波打つ様子をアクリルで金魚が波越しに見える揺らぎまで表現しています。実際の露店の金魚すくいの情景とかなり近い。水草の細かさや配置など実際見てみると素晴らしい。敢えて平面的に見せた抜いたところもあり洒落っ気がある『金魚愛』を感じる作品です。

■公式サイト:『深堀隆介』

金魚養画場 美術作家 深堀隆介オフィシャルサイト RIUSUKE FUKAHORI Official site

 

『舘鼻則孝(たてはな のりたか)』:靴

友禅染の伝統的な文様と花魁の高下駄と言った和のテイストを最大限に生かし靴『ヒールレスシューズ』。靴職人による精度の高い製品をアーティステックに変身させています。

実際はやや歩きにくいとはいえ、きっとこの靴を履いた女性の姿は非常に美しい足を入れて履く部分は非常に小さい。背面にジッパーが付いてはいますが履くにはやや苦行を強いられるのでは。女性は履きやすいのかもしれませんね。

『金彩』がとても緻密で美しい。個人蔵の『ヒールレスシューズ』はその原点となる一切装飾のない黒一色の靴。またクリスタルガラスを埋め込んだものはデコ靴のようでユニークでした。

■ブランドサイト:『NORITAKA TATEHANA(ノリタカタテハナ)』

 

『池田晃将(いけだ てるまさ)』:漆芸

螺鈿(らでん)と蒔絵の装飾による伝統工芸の世界と新しいデジタルの世界を融合させた作品。

螺鈿のモチーフになっているのは『数字』でレーザー加工による精緻な表現です。螺鈿の数字をいくつも重ね合わせ奥行きのある幽玄世界を箱の中に閉じ込めています。繰り返し繰り返し行う磨きの工程作業により空間の奥行きを表現するのです。

数字が縦方向に流れているような表現は映画『マトリックス』を見ているよう。装飾はサブカルチャー(漫画・アニメ・映画)の影響も受けているとか。リンゴの形態の表面に螺鈿を施すとは驚きです。

 ■公式サイト:『池田晃将』

池田晃将 | Terumasa-ikeda.com

 

 

『新里明士(にいさとあきお)』:陶芸

中国の磁器の手法『蛍手(ほたるで)』は穴の間隔が非常に狭く焼成した際に変形していないので不思議です。実際は口縁の部分は薄いが底に向かって肉厚なのかもしれません。器の穴に光をため込み、器全体が明るく浮かび上がって見えます。

全体に光を取り込み、柔らかな空気感を器の外側の周りに、そして内側には光を内包しています。器に開けられた穴の位置や間隔で表面の意匠に動きが感じられる。新作で穴をあけまま黒い酸化金属を掛けたものもありました。 

 ■公式サイト:『新里明士』

Ceramist-Niisato Akio/新里 明士TOP

  

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