九州佐賀県を代表するやきもの『有田焼』。
1616年に日本で最初の磁器として開窯し、400年以上日本での歴史に寄り添ってきた有田。江戸時代から国内外に流通し、日本を代表する焼き物として評価されてきました。
有田焼の歴史
有田焼の老舗たるブランド、現代もモダンな商品ラインを展開する窯元。時代に寄り添いながら『有田焼』はさまざまなかたちで我々の生活に関わってきました。
有田町は、陶磁器有田焼の産地として、そして日本の伝統的な工芸品が作られる街として知られています。今も橋の欄干やバス停など有田焼が街の随所に使われています。
有田焼のはじまりは、16世紀の末期、豊臣秀吉の桃山時代に歴史でも出てくる『朝鮮出兵』いわゆる『文禄・慶長の役』によるものと言われています。
この時代に朝鮮の陶工達すなわち李朝の帰化陶工団とその家族が拉致のようなかたちで日本に連れてこられました。彼らにより日本の磁器の歴史は始まりました。
この時代に日本には磁器はなく、朝鮮人陶工・李参平らによって泉山で陶石が発見され、1610年代に日本で初めての磁器が有田で焼かれました。
以来、佐賀鍋島藩のもとで、磁器生産が本格化し、谷あいに「有田千軒」と呼ばれる町並みが形成され、繁栄を極めました。
この街並みは、現在も歴史的価値の高い建物が数多く残っており、1991年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。
JR有田駅で下車してまずは正面の通りを歩き、右手側に観光案内所『KILN ARITA(キリンアリタ)』でこの地区を効率よく回るための方法を聞いた。
ここでは滞在時間に合わせて『有田内山地区』の施設の紹介と案内をイラスト地図に蛍光ペンでマーキングして丁寧に教えてくれますよ。
レンタカーを借りるほどたくさんの場所は回れないのでレンタサイクルで回ることにしました。
まずはこのエリアお勧めの『佐賀県立九州陶磁文化館』。ここに行けば有田焼の大きな時代の流れ、その歴史、文化、伝統を知ることができます。
有田焼を中心とした陶磁器が1300点ほど展示されていて、そんな施設がなんと無料で入館できます。
ここを訪れるとその充実度がわかります。因みにここに来るまでの坂道はとても傾斜があり自転車ではかなりきついです。
九州の陶磁器文化遺産の保存と陶磁器文化の発展を目的とした博物館。建物外観は白磁に施釉の掛かった全面タイル張りの建物。入口の手すりや内観からトイレまでも有田焼でした。
まず最初に目に入るのは有田焼のからくり時計。2000年(平成12年)に有田焼の窯元で製作されたもの。毎正時と半時の30分おきにからくり時計の窓が開き、からくり仕掛けのポールサーカスのショーが始まります。
次に印象に残ったのが『有田焼のシャンデリア』。
有田焼の壺1個、蓋付鉢2個、カップアンドソーサー16個をフランスで製作したオルモル(金メッキした青銅)で組み合わせたもの。
製品の中心に穴を空けて心棒を通して繋いで結合させたもの。壺の底に環状の部分を設け、16本の腕木を円心状に広げその先にカップアンドソーサーがろうそくの受け皿になっています。
江戸時代の有田磁器は、有田焼の歴史や様式を体系的に理解することができます。
2022年4月9日に常設展示の一室を『有田焼の歴史』をわかりやすく展示を一新させてリニューアルオープンしたばかりです。
下記の動画による施設・館内の展示案内は全体の様子がわかりやすいです。
■『佐賀県九州陶磁文化館』の施設案内YouTube動画にて
そして驚きのトイレ。有田焼の絵付けがされたトイレがあります。詳しくは館内案内も含めた下記の『佐賀県九州陶磁文化館』のバリアフリー情報をYouTube動画にて
動画の最後の部分にトイレの利用説明しています。
新しい有田
有田も古い町から新しい町としての要素も積極的に取り入れています。
有田町の川沿いの商家を改装したセレクトショップ『bowl(ボウル)』
店名は形のないものごとを受けとめる"うつわ"のようなものになりたいという意味だそうです。当日はギャラリーのコーナーで有田焼の藍色の染付に使用される染料『呉須』をテーマにした展示を行ったいました。株式会社深海商店の深海宗佑氏とプロダクトデザイナー岩尾玄樹氏の展示です。
有田町にUターンしたふたりによる呉須の美しさや再発見をさせる新しい展示でした。
呉須の染料を有田の血に例えてその考え方やモチーフを様々な商品としてブランド展開しています。
■呉須と異素材のコラボ商品
■展示されていた商品が掲載されています。
■SELECTSHOP bowl(ボウル)
https://www.instagram.com/bowl_arita/
■西隆行氏
現在東京『渋谷ヒカリエ8F』にて10/3まで展示会が開かれています。
伝統の有田
有田焼の三右衛門のうち今右衛門窯、源右衛門窯の店に行ってきました。
『今右衛門窯』の歴史も古く、1640年代に中国より赤絵(色絵)の技法が伝わり初代今右衛門も赤絵付の仕事をしました。
佐賀鍋島藩の保護のもとに置かれ、その中でも最も技術の優れた
『今泉今右衛門家』が藩の御用赤絵師として指名され、藩窯の色絵付を下命されました。
現在は、この建物は母屋としても使われているこの建物は、1830年(天保元年)に建てられた有田で最も古い建物と言われています。江戸時代、二階で赤絵の仕事をしていたため、赤く染まってしまった瓦に御用赤絵屋の面影をみることができます。
今右衛門 - IMAEMON|14代今泉今右衛門・色鍋島今右衛門窯・東京店
その他に『今右衛門古陶磁美術館』を訪ねました。
【今右衛門古陶磁美術館】鍋島、初期伊万里、古伊万里など古陶磁の展示
『源右衛門窯』は、筑窯から260年。『古伊万里』からは始まり、ろくろ、下絵付け、本窯、上絵付けから上絵窯にいたるすべての工程で、各分野の専門陶工たちにより受け継がれてきました。
有田焼には、大きくわけて3つの様式があります。
①『柿右衛門様式』:乳白色の「濁手」釉と赤絵の美しい華麗な磁器。輸出初期の花形として海外で高く評価されました。
②『鍋島様式』:鍋島藩の御用窯で焼かれた精緻で格調高い磁器で、幕府や諸大名、朝廷に献上されました。
③『古伊万里様式』:柿右衛門・鍋島系を除く幕末以前の有田焼すべてを含んでいます。
今回『柿右衛門窯』に行くことができませんでしたが、次回は是非。
下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。