ceramicsstar_project

デザイナーceramicsstarのサイトです。オリジナル作品の紹介、建築、美術、日常のことを書いています。

 本サイトはプロモーションが含まれています

気になる陶芸家 野口悦士さん【Vol.3】

陶芸の世界は奥深い。2回目に引き続き、昨年気になった作家の方の作品の展覧会について書きます。

深い緑青色の皿

 

 

野趣とモダンが融合したスタイル

三人目は鹿児島県で作陶されている『野口悦士』さん。

2022/10/15–10/22『deps_tokyo』にて開催された展覧会です。

『焼き締め』をはじめ『緑青(ろくしょう)』『灰白(かいはく)』『白釉』の花器やうつわ類。黄色、淡いグリーンうつわなどが展示されていました。

deps‗tokyo ギャラリー入口

会場の風景1

手前のギャラリー空間は白い飾り棚に白いテーブルを置いたスケルトン空間

奥の空間は木質テーブルにフローリングによる印象の異なるブラウンの空間

ギャラリーには2つの異なる空間がある。

還元焼成のグレーの皿

野口さんを知ったのは種子島で作陶されているときの島特有の黄色の鉄分の濃い粘土を使った土を使った焼き締めのうつわ。

最近では種子島の同じ条件の土は少なくなっているようですね。

薪窯焼成のため、色や質感はさまざまで野趣あふれる中に情緒のある作品をインターネットで拝見したのが最初でした。

彼の師匠は唐津焼の現代の著名な現代の陶芸家『中里隆氏』。

最初は弟子は取らないと言われた中里氏と種子島の繋がりで親交を深めながら弟子入りしたそうです。中里氏のアメリカでの制作活動にも同行されたとのこと。

焼き締めのうつわ

2019年にデンマークのレストラン『noma』でも使用されている食器を制作している工房『KH Wurtz』を訪問。KH Wurtzにて暫らく制作し、この場所にも薪窯築窯しているそうです。

KH Wurtz滞在の時の経験で作陶されたのが、白やグレーの微妙な色合いに変化するうつわ。

KH Wurtzのうつわは映画『ノーマ、世界を変える料理』にも登場していましたね。

映画『ノーマ、世界を変える料理』公式サイト

場所を固定せずに種子島、アメリカ、デンマーク、そして日本とさまざま国で作陶活動されています。

緑青』のシリーズ

シンプルながらエッジの効いたフォルムが印象的。
時間の経過を感じさせる風合いの青銅色の『緑青』シリーズ

 

不定形の皿はオブジェのよう

表面のざらついた凹凸の表情とその奥に見える色合いの組み合わせがよいですね。

緑青』の風合いにエッジの利いた皿

同じ『緑青』でも焼き具合により雰囲気は異なる

『緑青』のシリーズは電気窯で焼成を4回行うとのことです。

微妙な焼き具合によりさまざまな異なる表情を見せていますね。

白・グレー・緑青・錆色の質感

『焼き締め』をはじめ『緑青(ろくしょう)』『灰白(かいはく)』『白釉』この3種類の表現を代表する釉薬との組み合わせで異なる質感。

灰白』の還元焼成

上段左手:『白釉』、上段右手:『灰白』の酸化焼成、下段は『緑青』

『灰白(かいはく)』には白は白土の白化粧の白、黒は還元焼成、赤は酸化焼成による土からの発色。還元と酸化の二つの表現が混在したものもあります。

電気窯に薪を入れるように聞きましたがどのように窯で焼成するのか見てみたいものですが。

淡い緑色に白と黒グラデーションが映えるシリーズ

金属系の黒に白化粧そして透明釉が掛かっています。うつわのムラはどのように出すのだろう。使用することで経年変化が生まれ貫入が出てくるとのこと。

モダンで静謐な作品

 

緑青や灰白は独特の質感・表情を生み、器の中に宇宙が広がっているようなグラデーションが美しい。

うつわとデザートの対比

先日偶然にも発見した情報で上北沢のギャラリーカフェ『器と料理 カモシカ』にて野口さんのうつわに盛り付けたデザートと飲み物をいただける機会に恵まれました。

ここは上北沢駅から徒歩8分~10分程度歩いた住宅街にあります。

一軒家の住宅地の中にギャラリーの入口

ここは2008年、器と料理のお店としてオープン。

店内ではカフェ併設で器や料理に関する展覧会が開かれました。
月ごとに5〜7日期間限定で陶器、ガラス、布などの展覧会と合わせてお店を営業しています。

 

野口悦士 個展「月の光」

前半:2023年10月13日(金)~17日(火)
後半:10月末 オンライン展予定

器と料理 カモシカ

Exhibition | 野口悦士ウェブサイト

https://shop.okaz-design.jp/store/%E9%87%8E%E5%8F%A3%E6%82%A6%E5%A3%AB-%E5%80%8B%E5%B1%95%E3%80%8C%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%85%89%E3%80%8D-c156651507

 

野口さんの器とオーダーして盛り付けられたものを紹介します。

ナッツ類とドライフルーツを練り込んだチーズケーキのテリーヌ『ヌガーグラッセ』

緑青』の皿に設えた冷菓

6寸平皿は直径約190mm、高さは約10mmの『緑青』の皿は奥深い複雑な緑。

やきものの質感は銅の緑青とは異なった味わいがあります。

デザートのヌガーのブラウンとベージュ、皿の深い緑、木の実のヴィヴィッドなオレンジの色の組み合わせが良いですね。

斜め方向から見る

自然の趣きと質感の対比の妙

緑青』と『白釉』のうつわ

白釉の紅茶カップ

白釉の温かみのあるうつわで緩やかな釉の厚みがある。口縁はやや垂直に立っている。

野口さんの器をイメージした『10月の紅茶(TEALABO.t)』 @t.tealabo 

茶会用のうつわ

もう一杯は茶会用のひとまわり小さい茶碗でミルクティー。

とても薄く内側に沿っていて口あたりもよいうつわでした。

繊細で薄い口縁

木の実のタルト

『coffee Kajitaのコーヒー』と『木の実のタルト』は数種類のナッツの組み合わせ。

うつわは黄瀬戸風の釉薬に窯変の結晶が出ている皿。

斜め方向から見る

結晶釉はマットな仕上がりで茶色の部分はマットとブライトの中間の雰囲気に。

『木の実のタルト』を舟に見立てている様に感じます。

 

【お店の情報】

カモシカ / オカズデザイン
〒168-0073
東京都杉並区下高井戸5-5-23(店舗)03-6304-6270
store@okaz-design.jp

ー店舗は展示会期のみオープンー
11:00~17:00  **19:00~22:00(夜営業日のみ)

※イベントや取材があり日にちによって営業時間が異なります。

https://shop.okaz-design.jp/about/

https://shop.okaz-design.jp/

 

今回学んだのはうつわと料理の余白の関係性。

うつわに対して盛り付けるものとのバランスや面積比でした。

あとはテーブルに置かれた時の余韻や間のようなものですか。

たいへん勉強になりました。

 

■野口悦士さんホームページ

野口悦士ウェブサイト

 

 

下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。