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石垣焼の不思議【Vol3】

石垣島には独自のやきもの『石垣焼』がある。

いろいろと観光案内にも書かれており一度レンタカーで移動して工房を訪ねてみた。

石垣焼窯元

 

 

石垣島焼きとは

日本の陶芸の里はいくつかある。日本では『日本六古窯(にほんろっこよう)』と言う古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)の総称が代表的なもの。

その他にも『志野焼』『唐津焼』『有田焼』『九谷焼』など様々な焼き物の里があります。

石垣焼窯元の展示室


『石垣焼』は『石垣焼窯元』があり当主は『金子晴彦氏』。

石垣焼はよろん焼の技術が派生したもののようです。
よろん焼とは石垣焼はよろん焼の技術が派生したもののようです。
よろん焼とは1970年に福岡県・小石原焼の支援により1970年鹿児島県の与論島で金子晴彦氏の父、金子喜八郎氏によって誕生しました窯元です。

写真にある『石垣ブルー』が特徴。窯変油滴天目にコバルト色のガラスが融合した質感

ブルー系とグリーン系の色合いの原石

透明なガラスと鉱石を融解・融合させることで生まれた石垣島の美しい海を表現した色です。
これらの鉱石を粉末状にして素焼きに塗り、その上に透明なガラスを敷き詰めて焼くと
鉱石の成分が溶けてガラスと融合してマリンブルー、エメラルドグリーンの発色が得られるようです。

中央部にガラス質の釉薬が溜まり外側は窯変油滴天目

ここには文化財的な2品の名品があるとのことです。

『燿変玳玻天目(ようへんたいひてんもく)』と名付けられた茶碗『大英博物館所蔵』

『玳玻天目(たいひてんもく)』とはライオン、ネコの毛のように黄色みかかった茶色い線が縦へ数百本伸びる文様のこと。
古くは南宋の吉州窯で焼かれた玳玻天目茶碗(国宝)、文字天目茶碗(萬野美術館)が有名。

拡大鏡で見るとはっきりとは確認しずらいが虹彩が出ている穂先の芒(禾)に見立てた禾目は認識でき玳玻天目に虹彩が出ている。鉄釉である以上、燿変虹彩は出る。

*作品について東京国立博物館の学芸員の見解は非公式で珍しい燿変現象を確認。


もうひとつの『燿変油滴天目(ようへんゆてきてんもく)』茶碗。

燿変油滴天目の底にガラスの結晶

再現するには時間と労力と偶然性に左右される『燿変油滴天目』は虹彩が綺麗に出て斑点が美しい。

底に溜まったいる鉱石とガラスの結晶化のエメラルドグリーンとコバルトブルーのバランスが美しい。ピンクがかった油滴の大きさや虹彩の出方と色合いも美しい。

この二つのうつわの表情や表現と美しさには素直に感銘を受けました。

石垣焼窯元

 

石垣焼窯元

 

油滴天目の希少性

油滴天目とは、中国の宋時代の『建窯』での鉄質黒釉。天目は酸化鉄だけを顔料として加えたもので、焼成後に縁先が飴色、柿色、または鉄砂色に変化します。


国宝の燿変天目茶碗(銘・稲葉)静嘉堂文庫美術館所蔵など日本には名品があります。

現在は油滴天目に関する科学的な研究発表もされ、油滴斑を出す技術や環境は出来ていています。

窯自体で炎も調節する開発もされていますが、黒い天目釉の色の深さと光沢は難しい。

油滴の銀斑の輝きの強さ、色、散り具合、流れ具合、釉の表面から反射する虹彩など多くの課題があると言われています。

当主曰くこちらのガス窯は耐火煉瓦をかなり厚い壁で囲んで、通常の焼きの日数と時間を掛けて焼成しているそうです。

焼成の回数も限られるので通算するとかなりの時間と労力を費やしているとのことでした。

最後にとても気に入った『燿変油滴天目茶碗』をふたつ紹介します。

これは油滴の出方や虹彩の雰囲気、色合い、粒子の大きさ、流れ具合、ガラス釉の溜まりの色合いなど全体のバランスが気に入りました。

気に入った茶色の『燿変油滴天目茶碗』

もうひとつの気に入った美しい黒色の『燿変油滴天目茶碗』

日本の三大曜変油滴天目のご紹介

曜変天目は建窯の黒釉茶碗で斑紋の周囲に青色を主とする光彩があらわれたもの。

「曜変」は「窯変」を意味し、しだいに輝きを表す「曜」の字が当てられるようになった。

完全な形で現存するものは、国内で大徳寺龍光院(京都府)静嘉堂文庫美術館(東京都)藤田美術館(大阪府)に伝存する3点のみ

 

最後に『静嘉堂文庫』のご紹介

国宝 曜変天目(稲葉天目) 南宋時代(12~13世紀)建窯の茶碗 がここには所蔵されています。

 

国宝 - 静嘉堂文庫美術館

www.seikado.or.jp

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下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
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