日常品として、使いやすく普遍性のあるものがこの世には存在します。
いつの時代でも変わらず美しい『フィンランドデザイン』。
『iittala:イッタラ』製品のデザイナー『カイ・フランク』が手がけた、
『ヌータヤルヴィ』のビンテージガラス商品の魅力を書きます。
フィンランドのガラス商品
フィンランドは、年間を通して夜が長く太陽光が差す時間が短い国。
家の中で過ごす時間が長く、生活の中での豊さや美しさを大切にしています。
ガラスの商品を窓辺に並べ、その色や光を通しての美しさ、透明感を楽しんでいます。
東京リサイクルセンター祖師谷店 展示品
湖の深い色の美しさ、森や樹木、雨による水滴や霧など自然現象などを『ものづくり』のモチーフやイメージの原点としています。
現在は機械プレスの製法によるガラス製品がほとんどですが、ビンテージのガラス製品の多くは『マウスブロー』いわゆる『手吹きガラス』。
表面は平滑、均一ではなく厚みが異なり色の濃さの違い、独特のゆらぎ感が感じられます。そしてカラフルな色彩は非常に美しい。
東京リサイクルセンター祖師谷店 展示品
カイ・フランクのデザインの特徴
ガラス、陶器の食器のメーカーとして名を馳せる『iittala』イッタラは、1881年創業。その中でのガラス製品は更に遡ってイッタラの前身ともいえる『Nuutajarvi』ヌータヤルヴィは1793年の創業しました。
このふたつの歴史あるメーカーの仕事を行い、今の時代にも共通した大きな影響を与えている人物が『カイ・フランク』です。彼は奇をてらった独創的なものではなく、人々の暮らしに寄り添う、日常的に使えるものを考案しています。
ヌータヤルヴィ制作のカイ・フランク
デザインのショットグラス(ceramicsstar購入品)
マウスブローで制作しているので厚みに差があり、プレスガラスとは異なる手づくり感が感じられます。オレンジ系の赤色が美しい。
ヌータヤルヴィ制作のカイ・フランク
デザインの蝋燭スタンド (ceramicsstar購入品)
マウスブローで制作しているので角のエッジが滑らかでやや丸みを帯びている。
機械プレスのガラス製品とは異なり、グリーンの色がやや深くて美しい。
そして金型の筋が見えない柔らかな表情に温もりがある。
『ユニークピース』のガラス製品
カイ・フランクはプロダクトデザイナーとして量産品の指導の傍ら、数量限定して制作したものや一品物としてアーティスティックな作品を残しています。
『プロダクトデザイン』とは異なるもので芸術的な作品として『アートピース』と呼ばれているものがあります。オリジナリティ豊かな発想による作品は非常に魅力的です。
カイ・フランクが手がけた、ヌータヤルヴィのアーティステックな作品『アートピース』と唯一無二の1点もの『ユニークピース』の魅力とは
表参道にある『ELEPHANT』にて
KAJ FRANCK - GLASS DESIGN カイ・フランクのグラスデザイン展より。
☝☝☝ これが1点モノの『ユニークピース』にあたります。
☝☝☝ このボトム部分ガラスの色の混ざり具合が絶妙で美しい!!
手吹きガラスならではの表現
GOBLET KF486 UNIQUE
これらは1972年~1978年に製造されたもの。4種類のガラスの色が重なるパーツの組み合わせによるゴブレット。6パターンのカラーバリエーションがあります。
『Nuutajarvi』ヌータヤルヴィでのガラス制作の技巧を屈指してつくられたものです。
『アートピース』のガラス商品
ガラス制作の技巧を凝らした芸術的な品として扱われているもの。
全体的にボリューム感があり、柔らかな丸みを帯びて厚みのあるものが多いです。
プロダクト品とは異なり自由な発想で制作されています。ビンテージのガラス製品の多くは『マウスブロー』いわゆる吹きガラスによるもの。ガラス職人の技量が試されます。
UNIQUE BOWL
UNIQUE VASE
UNIQUE BOWL
UNIQUE BOWL
最後にフィンランド・デザインの基礎をつくった Kaj Franck (カイ・フランク)に関する おすすめの本を紹介します。丹念な取材と美しい写真で構成したデザイン紀行です。この本では貴重なアートピースも掲載されています。
Kaj Franck (カイ・フランク)(1911-1989)は、20世紀フィンランドを代表するガラスや陶磁器の1940〜1980年代にかけて 活躍したプロダクトデザイナー。
『フィンランドの良心』と呼ばれ、ARABIA/アラビア社 Nuutajarvi/ヌータヤルヴィ(現在iittala/イッタラ社 )のアートディレクターです。
陶器製の定番商品『TEEMA』(ティーマ)やガラス製品『 KARTIO』(カルティオ)は時代を超えて今も愛される商品。
下記サイトでオリジナル商品を販売しています。