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『ジブリパーク』のタイルの世界

2022年11月にスタジオジブリの世界を表現した公園『ジブリパーク』が開設されました。そこにあるのは独自の世界観。夢のような世界。

その中の施設『ジブリの大倉庫』にある『中央階段』のタイル空間を紹介します。

『ジブリの大倉庫』の風景

 

   

『ジブリパーク』のある場所

『ジブリパーク』は愛知県長久手市の『愛・地球博記念公園』内に2022年11月1日に開設されました。

愛知県長久手市と言ってもなじみがない場所ですが、この長久手市は某大手住宅メーカーが住んでいる人たちの満足度を集計した『住みここちランキング』を発表し、2021年、2022年の2年連続で愛知県長久手市が全国1位に選ばれました。
住民の平均年齢が40.8歳、『日本一若いまち』としても知られています。

遠く名古屋市内を一望できる『愛・地球博記念公園駅』

『こどもの広場』の大観覧車が右手に見える

『ジブリパーク』へは東海道新幹線『名古屋』駅で下車。

地下鉄東山線に乗り換えて『名古屋』駅から『藤が丘』駅で下車。

更に愛知高速交通 東部丘陵線(リニモ)に乗り換えて『愛・地球博記念公園』駅下車すぐです。 地下鉄東山線名古屋駅からの所要時間はトータルで約45分。

https://ghibli-park.jp/about#access


『愛・地球博記念公園』駅の改札を出て右手外にでると公園全体が見渡せます。

駅の外から公園のゲートが見える。

このブログでは施設内の『ジブリの大倉庫』の中央階段周辺のタイルのことについてご紹介します。

公園北口のゲート

『ジブリパーク』はこの公園北口のゲートから入り、前方の時計塔を目指します。

高さ約28メートルのヨーロッパの巨大な塔のような建物が『エレベーター塔』です。

時計の付いたエレベーター塔

映画『天空の城ラピュタ』の『ハウルの動く城』の世界観をイメージしてスタジオジブリがデザインしたそうです。

エレベーター塔を逆側から見る

エレベーターで1Fに降りて前方に向かって歩きます。

ジブリの大倉庫の外観

ジブリの大倉庫の入口
きらめくタイルの世界『中央階段』

『ジブリの大倉庫』に入るとまず視界に飛び込んでくるのはやきもの素材の『タイル』を使ったユニークな空間が。

『ジブリの大倉庫』の中央階段

ここはジブリの大博覧会とも言われ、この施設の中に、3つの企画展示と映像の展示室ショップやカフェなどがあるメインのエリア。そしてこの1Fと2Fを結ぶ中央階段周辺にはさまざまなタイルが装飾施工されています。スケールの大きい吹抜けの大空間です。

左右にある建物はジブリの映画に出てくるストーリーの展示室。

施設間を結ぶ2Fの連絡通路から中央階段を見る


ghibli-park.jp

中央階段周辺の装飾タイルは瀬戸や岐阜のタイル製造工場がいくつか協力してタイルを納めています。タイル施工したところどころにジブリのキャラクターが潜んでいます。

中央階段のセンターの噴水部分

コバルトブルーからエメラルドグリーンのグラデーションによる丸みを帯びた立体感のあるタイル。水の底には白い丸モザイクが張ってあります。

横から見た噴水の中央部分

正面から見ると真ん中に壁泉(へきせん)がある

壁戦の部分は水が流れやすい様に曲面で処理されてフラットな正三角形のタイルが曲面に沿って綺麗に仕上げられています。しずくの形状のタイルの先端は突起の部分は怪我や衣服の引っ掛けが無い様に埋め込まれて処理されています。

真ん中に切り込みがあり水が流れ落ちる

壁泉の部分は水が滑らかに流れやすくタイル施工

この中央階段周辺のデザインや施工に関してタイル装飾を手掛けた株式会社Euclidの代表でありタイル職人の白石普氏。

タイルのかたちの精度や美しさと色はもちろんタイルの施工そして細かい仕上げに関しての厳しさやこだわりについては並々ならぬところがあります。

『南街』に繋がる通路壁。

壁の上部の滑らかな曲面に緻密の美しく施工されたタイル。壁に沿って触れてみるとタイルの突起が手に引っかかるところが全くない。決して怪我をすることがない。

穴の開いた壁のまわりのタイル

壁のところどころに穴が開いている箇所がいくつかありますが、タイルが触るとひっかかりもなく表面が滑らかで、触れて怪我をしないような配慮がされています。

実際に触ることでやきもの素材の魅力を感じることができる。

釉薬の緑の濃淡があり手作りの温かみのあるタイル。

過去に製造されたタイル廃材を新しいタイルと混在させて使用

上の写真で見るとわかるが、赤紫のタイルは過去に焼成されたものに釉薬を掛けて再利用している。以前製造して焼成したタイル廃材を新しい場面で蘇らせて使用する試みを実践しています。

流れるようなタイル装飾

緑豊かな森にいるような世界

ところどころに埋め込まれているいきもののレリーフ

気に入ったのが上の写真にもある壁に埋め込まれたいきものたち。

蜘蛛やトカゲ、蛙などとてもユニークです。

やきものの『梅花皮』技法を巧みに使って表現しています。

『貫入(かんにゅう)』と『梅花皮(かいらぎ)』の技法を使っている

虫のディテール

**『梅花皮(かいらぎ)』:井戸茶碗に見られる高台付近の縮れ状の表現。刀剣の柄に巻くエイの皮を(かいらぎ)というところからこれを『梅花皮釉』と言います。

**『貫入(かんにゅう)』:釉と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉のひび模様のことを言います。

蛙のかたちがユニーク

オリジナルタイルと再生タイルの併用

新しいタイルと色ムラのある再生タイルを混ぜ合わせて施工しています。

曲面に沿って美しく滑らかに手張りでの施工

タイルの断面も滑らかに処理されている。

たくさんのこだわりのタイル

ここに使用されているタイルはさまざま。

タイルならではの表現箇所が随所にあります。

エレベーター塔屋

エレベーター入口まわり

印象的なひし形のコバルトブルーのタイルと金色の釉薬によるかまぼこ型のレリーフの対比が美しい。

一枚のタイルの中に微妙な表情を持つコバルトブルーのひし形タイル

深い海を表現した艶消しのコバルトブルーのエレベーター塔のひし形のタイル
ひとつのタイルの中で大きな濃淡があり、表面の奥行きと微妙な表情を出している。

ウロコ型のタイルを積み重ねた張り合わせと金色のボーダータイルなど

エレベーター塔の軒天部はこだわりのタイルの骨頂の部分です。
ひし形のタイルに合わせて鱗状に張ったコーニスのトルコブルーのタイルを積み上げ、勾玉のようなコーナー部を留めるテラコッタ装飾、金色のボーダータイルなど複雑な納まりになっています。

タイルの緻密な納まり

『ジブリの大倉庫』の中央階段周辺のタイルの納まりには目をみはります。

観る者に対して眩いきらびやか世界に埋没させる力があります。

下の写真を見ると大小かたちの異なるタイルがせめぎあうように且つ調和をとりながら

組み込まれています。

水盤周辺のタイル

細かく緻密なタイルディテール

ベンチも躯体に合わせたタイル施工

照明柱のタイル

タイルにフォーカスした紹介になりましたが、施設全体の楽しみ方はぜひ公式ガイドブックをご覧になるとその全貌やおすすめスポットなど楽しみ方が満載。

ジブリパーク公式ガイドブック

現在は第一期工事の開園となり、『ジブリの大倉庫』『青春の丘』 『どんどこ森』の3つのエリアに限定されています。

引き続き第二期工事も始まり、2023年秋頃に第2期開業予定の『もののけの里』『魔女の谷』の2つのエリアの整備が進んでいます。

 

■最後に下記の情報を。
・「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」内は入園料は無く自由に散策できる。

・自然の四季の情景や解放感のある公園は自由に楽しめピクニックもできます。

・各施設入館は事前予約必須でシーズン中は早め早めのご予約を。

天気が良い日は散策日和

遠くに『耳をすませば』で主人公・月島雫が偶然たどりついた『地球屋』が見える

ghibli-park.jp

『ジブリパークとジブリ展』公式ウェブサイト。2022年7月から全国巡回中。

ghiblipark-exhibition.jp

 

 

 

 

 

下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。

minne.com