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陶芸作家『ハンス・コパー』がなぜ好きなのか

 陶芸作家『ハンス・コパー』。わたしが最も敬愛する陶芸家です。

独自のスタイルで陶芸界に革新をもたらした『ハンス・コパー』になぜ惹かれるのかそのことを書きます。

ハンス・コパーとは

ハンス・コパーは、1920年にドイツで生まれ。戦時中父親がユダヤ人だったためにナチスの迫害を逃れながらイギリスへ亡命。1940年カナダへ送還されてしまいます。

過酷な生活の中で彫刻家になることを決意したコパーは、イギリスへ戻った後、ロンドンにて同じ境遇の亡命者の陶芸家ルーシー・リーと出会い、彼女のもとで陶磁器製作を始めます。『ルーシー・リー』の工房で共同制作していた彼女の陶芸の同志ともいえます。

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『ハンス・コパー展 20世紀陶芸の革新』より

パナソニック汐留ミュージアム 2010/6/26-9/5

 

  2009年から2011年日本ではルーシー・リーとハンス・コパーの展覧会が同時期に開催され美術館を巡回しました。

 ■静岡県立美術館のサイトでは未だ詳細が記載されてます。

「ハンス・コパー展 —20世紀陶芸の革新」|静岡市美術館  

ハンス・コパーの魅力:3つのポイント

独自のスタイル

 彼の作品の特徴は『彫刻』とも言える美しく芸術的なフォルムや独自の世界観。

エーゲ海西部のキクラデス文明の石像など古代彫刻の影響が強いと言われています。柔らかい女性像に代表されるものがそれにあたり、鋭い輪郭線と柔らかな曲面を併せ持つ造形です。その造形は、轆轤(ろくろ)で成形したパーツを接合させてできる『合接』という技法によるものです。

コパーは気に入らない作品をすべて破棄し、手紙や書き残したメモなどもこの世を去る前にほとんど燃やしてしまいました。

 

キクラデス文明 - Wikipedia

* 年代は紀元前3000年頃から2000年頃、新石器時代から青銅器時代初期にエーゲ海のキクラデス諸島に栄えた文明で、エーゲ文明に含める。

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作品の特徴と生き方

20世紀をイギリスを代表する最も偉大な陶芸家と言えば『バーナード・リーチ』。追従する『ルーシー・リー』と『ハンス・コパー』の名前が次に出てきますね。ハンス・コパーの陶芸作品は洗練された静謐なモノで芸術的なシンプルな美しさがあります。色を抑えてフォルムの追求を深め、異なる単純な形態の『合接』による造形の多様性のあるかたちの面白さが魅力です。

表面のテクスチュアはざらついて凹凸のある磨いた擦れ感のある表情も良いですね。陶器製の外装タイル、レリーフなど工業デザインも手掛けていました。

  

ハンス・コパーの遺言の1つが『自分の生の痕跡を遺さないで欲しい』と語っていました。自身の著書も無く、作陶の姿を遺した映像も一切ありません。

残された作品だけが彼のすべてです。そんな彼の生き方を尊敬します。

 

   

信頼できるパートナー

イギリスに渡って間もない頃、ルーシー・リーはバナード・リーチから批判的な評価を受けました。その後、彼女の陶芸スタイルがリーチ好みのものに変わっていく時に

『あなたはあなたの陶芸をすべきだ。』とハンス・コパーのアドバイスがあったとか。

これをきっかけに彼女は自分の陶芸に立ち戻り、世界のファンが憧れる華やかなルーシー・リーの作品世界を追求することが出来たと思われます。

 

カップ&ソーサーのデザインなどは、造形に強いハンスが轆轤(ろくろ)をルーシーは釉薬が得意なので絵付けを行って共同制作をしました。 

ナチスドイツに追われ、時代に翻弄され故国を立ち去らねばならなかった宿命と過酷な時代の苦難とを共有し、これを共に乗り越えていく陶芸家としての信頼関係があればこそと感じます。

 

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