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丘の上の我が家のようなホテル

東京のクラシックホテル『山の上ホテル』別名『HILLTOP HOTEL』。

今回は仕事で訪問したこの場所について書きます。

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『山の上ホテル』 外観

アールデコ様式の建物外観

1937年(昭和12年)に完成した昭和初期のアール・デコ様式の建物。

内装の仕上げはクラシカルで拘りの素材を使用している建物です。

 

当時の石炭で財を成した佐藤慶太郎によりアメリカの建築家『ウィリアム・メレル・ヴォーリズ』設計による建物です。ここは当時、文化福祉事業”新興生活宣言「健康のための生活改善と、それによる社会改良を目指す社会事業」の拠点でした。

 

第二次世界大戦後は『GHQ』接収されアメリカ陸軍の婦人部隊の宿舎として使用されてきました。

ホテルとしての開業は1954年(昭和29年)1月20日で、GHQの接収解除を機に、実業家・吉田俊男が佐藤家から建物を借り入れて創業しました。

『文化人のホテル』と呼ばれ、客室はわずか35室の瀟洒なホテルです。

山の上ホテル改修工事(2019)レポート03  改修前後の記録(ロビーエリア) 山の上ホテルの建物は、ヴォーリズ建築事務所の設計により昭和12(1937)年に『佐藤新興生活館』として建てられ, 戦後、ホテル創業者である吉田俊男が受け継ぎ...

一粒社ヴォーリズ建築事務所東京事務所さんの投稿 2019年12月26日木曜日

 

 

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川端康成、三島由紀夫、遠藤周作、松本清張、池波正太郎らの作家が定宿にしていたこともあり、ロビーには作家にゆかりのある書籍や絵などが飾ってあります。

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このシャンデリア当時のスタイルを1回目の改修時に制作して取り付けられました。

ソファや椅子も昭和初期の当時のスタイルを復元したものに変更されました。

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ロビー手前のベンチ。左手の壁には『ウィリアム・メレル・ヴォーリズ』の建築設計図面が掲げてあります。

 

 

2019年~2020年の改修工事

2019年2回目の改修工事では、建物竣工の長い歴史から給排水衛生設備などの老朽化が進んでおり、5月から大規模な改修工事を行っていました。

玄関ホールやロビーは床に覆われていた赤い絨毯を剥がして、昭和50年代の改修でほぼ失われていた創業当時の姿を再現しました。

職人による床のテラゾや階段部分や幅木のタイル、エレベーターサインなどの意匠を復元しました。特に館内共用部は当時の姿に戻して統一感を持たています。

 

またラヴィ、新北京など各レストランのリニューアルでは1935年の設計図から多くのディテールを踏襲したようですね。

 

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エントランスの通路のモールや天井の照明周り、絨毯は剥がされて当時の姿を再現。

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空間の広がりが美しく見えるインテリア空間。

家具と建物の構造体や全体の色合いは一体感のアール・デコ調のインテリア

 

f:id:ceramicsstar:20210211095201j:plain 多機能トイレ『だれでもトイレ』はタイル張りの清潔で美しい。最新のトイレ設備機器が入っています。

 

 

階段の意匠が素晴らしい

階段室の美しさはこの建物の重要な要素です。階段部分全体の意匠もさることながら、手摺り、階段の蹴上や踏面など細部に渉り『ヴォーリズ』のこだわりが感じられます。

また1階から5階までの吹き抜け上の空間は5階から見下ろしたり、1階から天井を見上げたりさまざまな建築の楽しみ方があります。

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階段手摺の回り込みと全体の空間の陰影、タイルの絶妙な使い方、階下表示のプレートなど階段室の見どころです。

 

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5階から1階を覗きこむと渦巻き状の不思議な空間が見える。

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1階から天井を見上げる。天井にはステンドグラスが見える。

f:id:ceramicsstar:20210208234325j:plain5階の天井のステンドグラス。

 

 

ヴォーリズのインテリアのディテール

ヴォーリズの設計のディテールや素材の納め方には大きな特徴があります。

アール・デコ様式による意匠の特徴や素材の美しさを随所に確認できます。

 

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今ではあまり見られない床のテラゾの復元では手間の掛かる磨きだしや真鍮をの棒材を埋め込む作業を再度行いました。

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天井の照明と漆喰の意匠が当時のアール・デコの様式を取り入れています。床のテラゾのデザインとの共通性があります。気が科学模様の陰影が美しいですね。

  

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幅木のタイルは二色の繰り返しがとてもモダン。階段も装飾されたレリーフタイルが使用されていてこだわりを感じます。

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エレベーターの横の柱まわりの階数表示のデザインもアールデコのスタイル。そしてここにもタイルがアクセントとして使用されています。

 

 

コーヒーパーラー ヒルトップ』のインテリア

ロビーから階下のB1Fにはホテルオリジナルブレンドコーヒー、水出しアイスコーヒーやデザートなどが楽しめるパーラーがあります。ここも内装は改装されて明るく落ち着いたインテリアの色の配色がとてもよいです。もとの設計図のディテールを引用しているそうですよ。作家『池波正太郎』もココにはよく訪れたそうですね。

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店内の家具は抑えめに丸いモザイクタイルが張られた柱が空間の特徴を印象深いものにしています。

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お店入口を入ると左手にグレーのレリーフタイル、正面に丸いモザイクタイルが張ってあります。壁や柱の凹凸とタイル自体の光沢が華やかなインテリアとして際立っています。奥にある水出しコーヒー近くの席が『池波正太郎』の座っていた場所だそうです。

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山の上ホテル改修工事(2019)レポート04 改修前後の記録(レストランエリア) 各レストランは建物竣工時には無かった空間ですが、そのリニューアルにおいても、原設計図から多くのディテールを引用することで、外観や復元したエントランスといっ...

一粒社ヴォーリズ建築事務所東京事務所さんの投稿 2019年12月26日木曜日

■山の上ホテル(旧佐藤新興生活館)
所在地:東京都千代田区神田駿河台1-1
竣工:1936年昭和11年
設計:W.M.ヴォーリズ(ヴォーリズ建築事務所)
施工:清水組
構造:RC造7階、地下2階www.yamanoue-hotel.co.jp

■地図

アクセス|山の上ホテル

 

 

最後に

豪華な外資系ホテルとは異なりこのホテルに入るとなぜかほっとしたり、安心したり気持ちの落ち着く居心地の良い空間が随所にあります。 ホテル本来の気遣いや安らげるホスピタリティを感じます。また訪れたい気持ちにさせる素敵なホテルです。

B1Fの『コーヒーパーラー ヒルトップ』おすすめのデザートはババロアとアップルパイがおすすめだそうです。

コーヒーパーラーヒルトップ|レストラン&バー|山の上ホテル

 

 ceramicsstarでした。

 

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