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特大サイズの明兆の大涅槃図

京都『東福寺』に来た目的は『大涅槃図』特別公開を見ることでした。

『吉山明兆』57歳の時の縦11m、横6mの大作です。

東福寺 法堂

 


東福寺が話題

今年は『東福寺』が大きくクローズアップされています。

2023年3月7日~5月7日迄 東福寺初の大規模展覧会 『特別展 東福寺』東京国立博物館で、現在10月7日~12月3日まで京都国立博物館で開催されています。

吉山明兆による記念碑的大作『五百羅漢図』全幅の修理後の初公開が展示の目玉となっています。東福寺の禅宗文化の魅力を伝える特別な展覧会です。

特別展 東福寺 - 京都国立博物館

東福寺展の概要1 東福寺公式ホームページより

東福寺展の概要2 東福寺公式ホームページより

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東福寺は日本から中国へと渡り、南宋時代の高僧無準師範(ぶじゅんしばん)に禅を学んだ円爾(えんに)を開山に迎えて創建されました。

通天橋に続く回廊

『東福寺』の名前の由来は、奈良東大寺と興福寺になぞらえて、その一字ずつをとったことに由来しているそうです。

この東福寺の法堂は東福寺の住持が山の僧侶たちに説法をする場所です。創建当初の建物は焼失し、昭和9年の再建で仏殿を兼ねた大規模な仏堂建築です。

とても大きく立派な法堂でした。

吉山明兆の大作に驚嘆

室町時代の伝説の仏師『吉山明兆(きっさんみんちょう)』が描いた大作『大涅槃図』は2019年から大掛かりな大規模修復が行われました。

春に東福寺 法堂で特別公開が2023年4月15日から5月7日まで期間限定で実施されました。そして現在も11月11日から12月3日まで特別公開中です。

東福寺『大涅槃図』 特別公開

先日、令和の大修理を終えて亀裂や折れが修理されて新たに表具も新調されて甦りました。

通常は3月14日から16日の東福寺涅槃会行事の3日間しか公開されないので今年は公開を大判振る舞いです。

大修理完成と特別展 東福寺の記念行事ですね。

遠くに東福寺 法堂が見える

この法堂の中に本尊として安置されています。


応永15年(1408)年東福寺涅槃会の本尊として『吉山明兆』に描かれた巨大な『大涅槃図』

当時、仏前の本堂には高さ7.5mの釈迦如来の坐像であったことからそれに見合う大涅槃図が制作されることになりました。

大きさ縦11m、横6mの大画面に力強い墨による輪郭線、濃厚な色彩と巧みな描写、そして空間としてのスケール感などは他に類を見ないものです。

吉山明兆作『大涅槃図』

図案は中央に8本の沙羅双樹の樹木に囲まれた台に釈迦が横臥しています。

右上に釈迦の臨終の報を聞いて駆けつける仏母の摩耶夫人を囲む集団が現れています。

周囲には菩薩、天部、阿羅漢、入滅した釈迦の死を哀しむ信者やまわりを囲む動物たちも涙にくれています。

画面の下の方には確かに猫が描かれていました。

この『大涅槃図』を制作中に、一匹の猫がよく遊びに来たので、図中にこれを書き入れた言われています。涅槃図には描かれない珍しいものらしいですよ。

そんな猫を画題に入れ込んでしまうところ、当時の人のしゃれっ気など感じ入りましたね。

そしてここに緻密に描かれた菩薩、人々、動物たちの表情はとても情感豊かです。

数々の戦乱の世もくぐりぬけてきた『大涅槃図』はこの空間の本尊として存在感もあり、とても荘厳な重厚感を感じます。

時代を経て大切にされてきたものだと実感できますよ。

 

室町時代から老若男女多くの人々が釈迦の亡くなった旧暦2月15日前後に催される『涅槃会』には明兆の『大涅槃図』を一目見ようと東福寺を参詣する様子が記録に残されているようです。

かの室町幕府の8代将軍『足利義政』も関心を寄せていて東福寺の本尊の前で焼香をしたと伝えられています。

吉山明兆作『大涅槃図』部分 ”出典:大本山 東福寺のリーフレットより”

■吉山明兆(きっさんみんちょう)(1352年~1431年)

東福寺の画僧として南北朝時代末期から室町時代初期にかけて東福寺やその他多くの寺院の仏画、水墨画を手掛けました。水墨画の先駆けとも言われています。

江戸時代までは雪舟と並び称される画人でした。

殿司職を務め、中国の仏画作品に学びながら、新しい水墨の技と鮮やかな極彩色による画風を築き上げました。

堂本印象筆の天井画『蒼龍図』”出典:大本山 東福寺のリーフレットより”

天井には『堂本印象』による『蒼龍図』が板に描かれています。

この天井画は短時間に描きあげられたものだそうです。

そして法堂内で手をたたくと反響して龍が鳴くことでも有名です。

堂内はとても広く、スケール感がありますね。

一度是非この機会に訪れてはいかがでしょうか。

残り1週間12月3日(日)まで東福寺法堂で現在特別公開中です。

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『山門』も期間限定公開

今年は東京国立博物館の特別展「東福寺」の開催に合わせ『国宝三門』を公開しています。

現在の三門は、創建から150年以上経った室町時代前期、応永2年(1405)室町幕府第4代将軍足利義持によって再建されました。
日本で最古、禅宗で最大級の三門になり、昭和27年国宝に指定。

三門楼上には明兆が極彩色で浄土を描いています。
天井画には真ん中に天女が2人飛んでいます。また卵殻の中にいる時からさえずっていたという『伽陵頻伽』という鳥を右側の天井に描いています。

その他には特別展で公開しなかった『宝冠釈迦如来坐像』や『十六羅漢像』を公開しています。

境内の全景

期間限定で公開される『山門』

山門を見上げる

 

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■臨済宗大本山 東福寺
所在地:〒605-0981  京都府京都市東山区本町15丁目778
TEL:075-561-0087
営業時間:公開:4月~10月 9:00~16:00 (拝観受付終了は16:00、16:30に閉門 )
     公開:11月~12月上旬 8:30~16:00 (拝観受付終了は16:00、16:30に閉門)
     公開:12月上旬~3月 9:00~15:30 (拝観受付終了は15:30、16:00に閉門)
拝観料:その他:通天橋・開山堂:拝観料 400円(小中学生 300円)  
    その他:国指定名勝 東福寺本坊庭園:拝観料 400円(小中学生 300円)

 

 

 

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