2012年にデビュー絵本『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)が第18回日本絵本大賞を受賞。その後、精力的に展覧会やインスタレーションで活躍する『ミロクマチコ』の個展が2022年4月5日(火)~ 5月23日(月)東京・銀座のクリエイションギャラリーG8で開催されました。
東京・銀座 クリエイションギャラリーG8
『ミロクマチコ』は1981年生まれの大阪枚方市出身。児童文学からスタートして絵本制作美術家です。動物や植物や不思議な生き物たちが絵に登場しています。カウニステとのコラボレートなど海外評価も非常に高い作家です。2013年、絵本「オオカミがとぶひ」が第18回日本絵本賞大賞を受賞しました。
『ミロコマチコ展「うみまとう」』展示風景。
展示室全体の壁面、柱、床に埋め尽くされた作品。圧倒的な存在感とパワー激しい筆使いやタッチで空間全体を構成。
壁面ガラスにも絵の具で描く
縦横無尽に布もふんだんに使用。
スパッタリングで表現したいきもの
反対側の展示室。布やタライには染織用の絵の具
展覧会のみるべきポイント
・不思議で魅力的ないきものたち
・コラージュとペインティングによる自由な発想。
・生命力の溢れた世界観
奄美大島の生命力
2019年には東京から奄美大島へと拠点を移すと、島の自然からインスピレーションを受けた作品を数多く制作します。奄美大島の『自然』『島のいきものたち』などを題材にしています。わたしは精霊のようなもの表現しているように感じます。
そこに描かれているものは非常にプリミティブ。原始的であり自然の摩訶不思議な生命力が溢れています。
**掲載している写真はクリエイションギャラリーG8の許可を得て紹介しているものです。**
制作時に着ていた衣には、絵具や水滴が勢いよく付いていて、キャンバスとなっていた紙にも生命力がある。
制作時に着ていた布や写真の様な制作場面で下に敷いていた布など染めたものをキャンバスの画面に直接貼って使う。
『光のざわめき』(2022年)
鳥の羽は紙で表現
緻密に表現している絵筆
色使いがカラフルで絶妙。とても色彩感覚が豊かで魅力的な展示ですっかり時間を忘れて見入ってしまいました。奄美大島の植物や水を使った染織技術も相まってその場所での感覚を研ぎ澄ませて絵画全体の世界観を十分に感じさせます。
『あたたかい光と冷たい風』 2021年
斑点と垂らしで体を表現している。
『夜の光』(2022年)
ビニールに色を付けたものなども使っています。
指で描いた筆跡が残っています。
プリミティブなミクストメディアの世界
ぺインティング、コラージュ、スパッタリングなどによるこれら多彩な表現はひとつの手法にこだわらない自由な発想によるものです。インスタレーションも全身を使って画面に向かって描く姿は神々しかった。
自然と対峙しながら絵を手で描くことにより心の奥底にある感情を伸びやかに描き切っています。
奄美大島独自の気候風土や濃い自然の息吹も影響してか、混沌とした不思議ないきものたちが生き生きと描かれています。
『空の声』2018年
斜めから見ると立体感がわかる。
筆ではなく手を滑らせて描いた背景
羽を表現した紙に絵の具を付けてコラージュしたもの。
『ミロクマチコ』のマチエール
絵画の技法はほとんどが『ミクストメディア』。現代美術における性質や種類の異なる複数の素材を用いる技法。アクリル絵の具や染織材料、布、紙、ビニールなど様々な素材を使用しています。
会場では動画撮影したライブペインティングによる制作風景を流し、映像でも確認ができました。
今回の『ミロクマチコ』の展覧会は2022年のベスト1とも言える展示会。
圧倒的なパワーとエネルギーを感じました。
同時期にミロコマチコの美術館の展覧会『いきものたちはわたしのかがみ』が全国各地を巡回中でした。
『ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ』公式サイト
現在は大規模展示は終了し、横浜市のJIKE STUDIOにて企画展が1月21日から2月5日まで開催されます。
■企画展|ミロコマチコの世界展
『ゆらゆらともる』
2023.1.21(土)-2.5(日) 11:00-18:00・火曜休廊
https://www.instagram.com/mirocomachiko/?hl=ja
下記サイトでオリジナル商品を販売しています。
よろしくお願いいたします。